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『隠された記憶』では隠しカメラを仕掛けた犯人が隠されている。監督のミヒャエル・ハネケ自身も犯人が誰であるかというコメントはしていない。しかし劇場予告やチラシでは「衝撃のラストカット」のことがしきりにアピールされているから、良心的な観客ならば誰でも犯人の姿を求めて、あの不意に訪れるラストカットを凝視するだろう。警察の鑑識捜査員になったような気分で、監視カメラ風の定点観測映像からヒントを見つけだし、容疑者につながっている糸を手繰っているかもしれない。私には鑑識の才能がないらしく、巷のブログで優秀な鑑識の皆さんが見つけたような重要証拠に辿り着くことはできなかった。そこで負け惜しみのようだが、ここでは「衝撃のラストカット」に映っていた(という噂の)ふたりの若者をキーにした犯人探しは横に置いといて、観客をして鑑識捜査員として物語の共犯者にしてしまった、「犯人隠し」の鮮やかさについて考えてみた。