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---------------------------- 2005/05/01 管理人

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『輪廻』 ずっと一緒、は困るけどがんばります

輪廻主人公の優香は劇中映画『記憶』の主役に抜擢されたその瞬間からそのタイトル通り「記憶」と対峙しなければならなくなる。オーディションの帰りにはすでに少女に関する記憶(幽霊ではない)を目撃しているし、台本を受け取った後には殺人現場であったホテル(『記憶』は群馬県で実際に起こった連続殺人事件を題材にしている、という設定である。)に記憶的移動を起こす。優香は前世を演じることを徹底的に(これ重要)強いられるのである。

そしてこの『輪廻』という映画でも、『記憶』という劇中映画でも一つのホテルというモチーフが重要な役割を果たす。『輪廻』の中でのそれは、おそらくかつての殺戮によって荒廃したであろう廃墟としてのホテルである。『記憶』の中では監督(椎名桔平)を含めた映画関係者の記憶を喚起する、劇中映画を完成させるためのセット装置としてのホテル、そして『記憶』から『輪廻』へと迂回する形でイメージとして現れる三つ目のホテル。清水崇は建物の美術的な新・古を矢継ぎ早に操作し、巧みにこの三つの空間(すなわち現世と前世)を行き来させてみせる。この物語の全ての始まりである35年前の大量殺人事件の犯人の言葉に「肉体は器でしかない」というものがあるが、このホテルはまさに文字通りの器として機能し、それが廃墟であろうがセットであろうが登場人物たちに一貫した物語を進行する事を許している。そして私も含めてこの『輪廻』に関わる全ての人間がホテルという演技空間的イメージに終始引きずり回されるのである。

またこの物語では新聞やフィルムなどの記録媒体が極めて重要な役割を果たしている。登場人物のほとんどは新聞や雑誌などの紙媒体を前世への入り口としているし、終盤に登場する8ミリフィルムの映像(実際は8ミリではないが)はまさに今起こっている記憶とシンクロすることで輪廻というシステムを証明してみせる。人間の魂が今生を永遠にさまよっているというと大げさであるかもしれないが、文章や写真、映像による記録的記憶を人類で共有してしまっている時点で、魂の存在とは関係なく、人々は有史以来の全ての人物の持つイメージの輪を廻ってしまっているのではないかと私は思う(だから私はキノコが好きではない)。 少女の持つ人形から発せられる「ずっと一緒だよ。」という台詞は、記憶は永久不滅であるというその一点において、非常に恐ろしく響くのである。特に自民党が圧勝するような今の日本では。

[日本/東宝] [監督][脚本]清水崇[製作]濱名一哉/小谷靖[製作]一瀬隆重[脚本]安達正軌[撮影]柴主高秀[音楽]川井憲次[出演]優香/香里奈/椎名桔平/杉本哲太/小栗旬/松本まりか/小市慢太郎
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