KINEMAtograph/Mirror

KINEMAtograph[キネマトグラフ] は移転しました。
ここはミラーサイトとして運営しています。(時々更新します)
恐れ入りますが、http://kinematograph.net/ へブックマークの張り替えをお願い致します。
(記事へのコメント、トラックバックは停止しています。ご意見ご感想はこちらで承ります。)
---------------------------- 2005/05/01 管理人

スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

- | permalink | - | -
<< 『メリンダとメリンダ』 人生は劇か | main | 『愛についてのキンゼイ・レポート』 一人だけのセックス >>

『アワーミュージック』 デジタルカメラは映画を救うか

アワーミュージックメインこの映画を心底いとおしく思うことになろうとは、観る前にはわずかにも予想していませんでした。というのも、ゴダールのフィルモグラフィーがピカソのそれと同じくおよそ三つの季節に分けられているならば、私はその前期から中期、ゴダールが「ゴダール」たる時代にはまったくシンパシーを感じず、きっと私には「ゴダール映画」は無理なのだろう、好きになるということ自体私にはあり得ないのだろうとずっと以前から思いこんでいた節があったので、この感情が私にとって相当な意外性のあるものだったのです。正確に言えば二年前に『10ミニッツ・オールダー イデアの森』でも同じような感銘を受けはしましたが、短編だったことと他の監督のオムニバスに気を取られていたこともありその時はさして後を引かなかったのです。そういう意味では初めて本当のゴダール映画を観たと言えます。

10ミニッツ・オールダー コレクターズ・スペシャル私は小説にしろ絵画にしろ晩年の作品が好きです。きっと最もリアルな表現で生きている様が感じられるからだと思います。巨匠の撮った映画には二種類あって、一つはこれまでに培った膨大な知識・技術を武器に戦い部下たちにその威厳を振りまく(途中で誰と戦っているのかわからなくなってしまったり)ものと、もう一つは同じ武器を部下たちにすべてうっちゃらかして自分も拾い集めるところからやり直すもの。ゴダールのアワーミュージックは明らかに後者でした。ただ驚くべきは、武器以上に若者を脅かすそのパッションにあるのです。戦争映像のモンタージュと人が死を好む様子をモノローグで繋ぐ第一部、凶器と活気の混在したサラエヴォの街を舞台に自殺志願するヒロインとゴダールとの交流を描く第二部、そして何も無くなった天国を想起させる第三部と構成されていきますが、この流れ方が非常に心地よく巧妙で、映画青年に実力を見せつけるようです。老いてなお決して見劣りしない映像美、とくに最後の小川のシーンは極めて魅力的でした。

アワーミュージックサブところで劇中で「デジタルカメラは映画を救うか」という学生の質問にゴダールは無言で答えます。ワープロを手に入れたからといって小説が書けるようにならないのと同様に、それは映画を志す者として最もみっともなく稚拙で、そのような疑問を持ってしまったらカメラを捨てるしか道はないのです。私も学生の頃フィルムを扱っていましたが、あえてデジカメを使わなかったのは、一回一回のテイクにその瞬間の全神経を向かわせやり直しができないという緊張をもってより高い満足感を得ていたわけです。デジカメでそれができていればフォーマットは何でも良かったのですが、きっとそれはできなかったと思います。そしてゴダールの言うように道具と技術が揃えば映画が撮れるという訳ではないことは明白なので、そこで諦める他はないのです。この映画を観て多くの若者が映画監督を志望することをやめるでしょうが、それは惜しいことではありません。また依然としてそれでも諦めない者がいるとすれば、ゴダールの声は届いていないことになるでしょう。

内容にはほとんど触れていませんが、もっと凄い人たちの批評が数多く出回っていると思いますのでこの辺で…。今回は試写会で観させてもらいましたが今秋公開予定となっていますので、巨匠の健在を是非その目で確かめてください。私ももう一度念押しのために行くと思います。最後に、この試写会上映が映画美学校でおこなわれたことについて解せないので、誰か突っ込んでください…。

  • アワーミュージック 公式サイト
    • ◆◇◆◆◆
      10月15日(土) シャンテシネにて公開、全国順次ロードショー! 初日来場のお客様には、ジャン=リュック・ゴダール監督直筆原題タイトル入り特性「オルガの赤いハーモニカ」をもれまくプレゼント!
      ◆◆◆◇◆

      10月29日(土)ナビオTOHOプレックス(大阪)、京極弥生座(京都)にて公開 11月19日(土)名古屋シネマテーク(名古屋)にて公開 その他、シアターキノ(札幌)、シネテリエ天神(福岡)、大分シネマ5(大分)にて順次公開

      ☆★☆ 公開にあわせ、続々と関連イベントを開催 ☆★☆

      1.『アワーミュージック』ギャラリー展

      貴重なジャン=リュック・ゴダール監督のアトリエの写真や、『アワーミュージック』を熱く応援するクリエイターからのメッセージ、世界各国の『アワーミュージック』ポスター展示、関連書籍を集めたブックフェアーなどを展開します。
      場所:青山ブックセンター本店      日程:9月16日(金)〜30日(金)
      場所:青山ブックセンター六本木店   日時:10月1日(土)〜31日(月)

      2.「ゴダール革命」著:蓮實重彦 筑摩書房より9月21日(水)発売

      3.「ゴダール革命」刊行記念 とことん語るシリーズ番外編トークショー

      場所:青山ブックセンター本店 カルチャーサロン青山  日時:9月24日(土) 要予約

      4.『アワーミュージック』公開記念 菊地成孔×青山真治 爆裂トークショー

      場所:TSUTAYA TOKYO ROPPONGI  日時:21:00 start

      5.特選ゴダールナイト vol.2

      場所:新文芸坐  日時:10月8日(土) 22:30 start
      上映作品:『パッション』、『ゴダールのマリア』、『愛の世紀』、『そして愛に至る』

      6.爆音ゴダールナイト

      通常の音響システムではなく、ライブ音響システムを使用した迫力のライヴ・サウンド上映!!
      場所:吉祥寺バウスシアター  日時:10月15日(土)〜28日(金) 連日 21:00 start
      上映作品:『勝手に逃げろ/人生』、『右側に気をつけろ』、『新ドイツ零年』、『ヌーヴェルヴァーグ』

      7.金沢コミュニティ映画祭

      会期:11月13日(日)〜17日(木)
      会場:シネモンド(金沢)

      [2004仏/プレノンアッシュ][監督・脚本]ジャン=リュック・ゴダール[製作]アラン・サルド/ルート・ヴァルトブルゲール[撮影]ジュリアン・ハーシュ[出演]サラ・アドラー/ ナド・デュー/ ロニー・クレイマー/ ジョルジュ・アギラ/ レティツィア・グティエレス/ ジャン=クリストフ・ブーヴェ/ ジャン=リュック・ゴダール
Kinema | permalink | - | -

スポンサーサイト

- | permalink | - | -